茶道思考

趣味としての茶道人口について。文化庁の京都移転のニュースを聞いて

2023年3月27日に文化庁の庁舎が京都に移転しました。その目的は、次のように書かれていました。
今後、時代の変化に応じた取組を進めていくために、観光、まちづくり、福祉、教育、産業などの様々な関連分野との連携を強化し、総合的に文化行政施策を推進することが不可欠です。戦略的な国際文化交流・海外発信や文化政策の調査研究の強化も必要です。
つまり時代の変化に対応し、さらに海外を視野にいれてのこと。

茶道思考®の考え方を広めていきたいと考えていますが、これまで、茶道の現状を調べるために文化庁の資料を見ることがあります。
文化庁の白書・統計調査等のところに、生活文化調査研究事業報告書(茶道)(令和2年度)という書類があり、生活文化のなかで茶道がどのように捉えられているのかが報告されています。

着目した点をお伝えします。

茶道人口ですが、平成8年から平成28年まで33%減になっていました。((2626000人→1761000人)データは5年ごとで現時点平成28年まで)茶道人口が減っていそうだということは想像がつくところです。
ところが、平成23年から平成28年の茶道人口を見ますと、性別では、男性は増加しています。
年代別では、20~24歳・65~69歳のゾーンが増加していました。これは、高校などでの学校教育で茶道を知った若者が、そのまま趣味として定着したことと、人生100年時代のリタイアした層が趣味として茶道を始めたからとの考察がありました。
茶道人口を層別してみると増えているゾーンがあることは着目すべき情報と捉えています。

また、NHKではテレビ番組として「茶道」を定期的に趣味の講座として放送しています。昔は婦人百科の一つとして放送されていましたが、1990年からNHK「趣味百科」として茶道が放映されるようになりました。
男女関係なく「趣味」という分類の下で、茶道がしばしば取り上げられていることから、茶道が教養や趣味として国⺠生活の中に根ざしていると、この文化庁の報告書に記されていました。

ここまでは茶道人口にからんだ部分で、次に実態のアンケート調査の部分から抜粋します。

茶道に興味はあっても、実際に体験するには至っていない人にとって「誰にでも気軽に参加で
きる体験教室・イベントがあれば」など、外的な要因に起因することが多く、茶道を辞めている
理由と近いことが分かる。茶道を中断している人や未経験者が茶道を始めるに当たっては、経済
面や時間面等が大きなハードルとなっているが、機会が適切に提供されることで茶道を始めるき
っかけになる可能性も見えてきた。その場合、行きやすい時間帯や交通に便利な場所、近所にあ
るといった利便性の確保が重要である。また、オンラインでの受講についても、若者世代では需
要がある。さらに、若者世代では、先生が厳しそう、技術的に難しそうなどのイメージを持って
いるため、その心理的ハードルを下げることも茶道人口増加への取組としては必要である

これらのことから、茶道の魅力を知っていただく機会を増やしていきたいです。

また茶道思考として、茶道を体験し、それを実際の生活(仕事)に応用していっていただきたいとの思いをさらに強くしました。そして文化庁が京都に移転した目的のように、社会変化に対応、グローバル化の対応を、茶道からも勧めていきたいと考えています。

生活文化調査研究事業報告書(茶道)(令和2年度)


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